国内最大級(九州最大)の恐竜(大型草食恐竜)の肋骨化石
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※図や写真は、別途記載がない限り(c)天草市立御所浦白亜紀資料館・福井県立恐竜博物館となっています。 |
経緯について
平成11年4月の天草市立御所浦白亜紀資料館の調査で、御所浦島南側の採石場(通称:白亜紀の壁)に露出する御所浦層群(ごしょうらそうぐん)の烏帽子層(約1億年前)から恐竜の骨の化石がまとまって発見されました。そのうちの一点は当初、鳥脚類の上腕骨と考えられていましたが、平成25年度からの福井県立恐竜博物館との共同研究による化石クリーニングと鑑定の結果、化石は竜脚類の右肋骨の一部と判明しました(昨年11月、中国北京市の国際古生物学会でも発表)。
産出について
天草市御所浦町に分布する御所浦層群(白亜紀中頃:約1億年前)から産出しました。御所浦層群からは、国内最大級の獣脚類の歯化石や、イグアノドン類の歯化石なども発見されています。
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特徴と同定について
化石は肋骨の一部で、長さ42cm、幅18cm、厚さ9cmであり、欠損部位を復元した肋骨全体の長さは約1.4mと考えられます。内側の湾曲程度や中軸部の幅、外側のリッジなどから、胴椎の右側の第3~第6肋骨と推定されます。
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復元した肋骨
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(参考:国内における竜脚類化石)
日本では、竜脚類化石の古い時代のものは徳島県勝浦市(約1億3,000万年前)から歯の化石が、新しい時代のものは熊本県天草市と鹿児島県薩摩川内市(約8000万年前)から歯の化石が報告されています。日本の化石産地では多くの場合、歯の化石のみで知られる恐竜ですが、体の骨は岩手県(上腕骨)、福井県(上腕骨、大腿骨、脊椎骨など)、兵庫県(脳函、肋骨、尾椎など)、三重県(上腕骨、大腿骨など)、福岡県(頸椎)の5カ所から知られています。肋骨については断片的なものが兵庫県でのみ知られていました。
今回の資料は白亜紀の中頃(約1億年前)である御所浦層群から初めて産出した竜脚類の化石であり、九州では、福岡県の関門層群(白亜紀前期:約1億3000万年前)に次ぐ古い竜脚類の化石です。また体の大きさを推定できる資料としても注目されます。近縁の竜脚類の骨格を参考にすると、全身の長さは約15mと推定され、国内最大級(九州では最大)の恐竜と考えられます。今回の資料は九州で多様な恐竜が白亜紀を通じて生息し続けていたことを示す資料としても重要です。
意義について
○ 竜脚類と呼ばれる大型草食恐竜の肋骨であり、全長は約15mと推定され、国内最大級のものです。九州では最大の恐竜と考えられます。
○ 御所浦層群から初めて産出した竜脚類化石であり、約1億年前のものです。
○ 竜脚類が九州で白亜紀を通じて生息し続けていたことを示すが、九州では他にも様々な恐竜が発見されており、その多様性を研究する重要な資料となります。
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